外国人の雇用を考えようと思った時に、
「何となく難しいかも」
「めんどくさそうな印象がある」
「ビザって手続きがややこしそう」
「外国人の就労ビザって申請したら許可されるものなの?」等と思ってしまうのではないでしょうか?
確かに、外国人雇用をビザ視点からお話すると、難しいことが多いです。たいていの場合、考えていたよりもめんどくさいと思います。
また、「留学生等をアルバイトで雇用する」のではないので、思ったより、ややこしいと感じられるかもしれません。
当事務所にご相談頂いたお客様の多くが「そんなにたいへんなの?」とおっしゃいます。
でも、ポイントをしっかり押さえていれば、就労ビザは取得できない事はありません。
そして、「そのポイント」とは、「外国人雇用の就労ビザに関する注意点を知っておく」ことです。
今回のブログでは、その注意点で知っておいて頂きたい、外国人雇用の基礎的事項について、お話していきたいと思います。
このブログは、外国人雇用と就労ビザに特化した情報を発信しているブログです。
記事を書いているのは、行政書士akiyama(就労ビザが専門の行政書士秋山治子)です。
ブログ内容は、「外国人雇用」、「各種就労ビザ」、業界別のビザに関すること、事務所の紹介、業務日誌、事務所を開業した前後の経験など。
外国人の雇用や就労のビザについての疑問、お困り事等、どうぞお気軽にご相談ください。
外国人雇用の就労ビザに関する注意点:知っておいてほしい基礎的事項
外国人雇用において、就労ビザに関する知っておくべき基礎的な注意点は、以下の6つです。
最低でも、以下の6つのポイントを押さえていれば「外国人雇用の基本」は大丈夫だと思います。
① 在留期限が切れていない就労可能な在留資を持っていなければ仕事はできない
② 日本人雇用と違う点(外国人は仕事が可能なビザが必要)を知る
③ 就労系のビザはビザごとに可能な仕事内容が違う
④ 日本人雇用と同じ点(外国人の報酬額も日本時と同等以上)を知る
⑤ 外国人採用の時は必ず、在留カードとパスポートを確認する
⑥ 外国人雇用の届出義務と管理をしっかりする
それでは、順番にご説明します。
在留期限が切れていない就労可能な在留資を持っていなければ仕事はできない
まず、最初に、
外国人は在留期限が切れていない、就労可能な在留資を持っていなければ仕事はできません。
これは、上記の6つのポイントの①と②に当たります。
ですので、採用する時は必ず在留資格の確認が必要です。
日本人であれば、「学歴・職歴不問」、「経験問わず・初心者歓迎」で雇用が可能です。ですが、外国人となるとそうはいきません。
外国人の場合は、入管局(出入国在留管理庁)が許可した、就労可能な在留資格がなければ仕事ができません。
日本人と外国人の雇用で一番の違いであり、注意が必要なのはこの点です。
就労系のビザはビザごとに可能な就労が異なる
次に、③の、就労系のビザは、ビザごとに可能な仕事内容が違うという事です。
この知識は、とても大切な知識です。ですが、ご存じない会社経営者・人事ご担当者は多いです。その為、「不法就労」させてしまう会社は少なくありません。
外国人雇用やビザ(在留資格)の制度は分かりにくく複雑です。知識不足や勘違いで「不法就労」になる場合があるので、注意が必要です。
そこで、基礎的なビザの知識として、覚えて頂きのは、就労系のビザは、ビザの種類によってできる仕事とできない仕事があるということです。
許可されたビザの範囲以外の仕事はできない
例えば、「技能実習」ビザの外国人は、決められた会社で決められた仕事内容でしか仕事できません。コンビニでアルバイトは出来ないのです。
同様に、「技術・人文知識・国際業務」ビザをもっている通訳翻訳の外国人も、スーパーやコンビニでアルバイトできません。
「技術・人文知識・国際業務」のビザは、大学等で勉強した知識を活かした仕事をするために許可されたビザです。ですので、レジ打ち、商品整理、清掃等の単純作業は出来ません。
このように、「仕事可能なビザ」があるからといっても、できる仕事とできない仕事があるのです。
留学生の就労での注意点
ところで、留学生が就労する場合もご注意ください。
留学生が、学校を卒業して就職する時は就労系のビザに変更しなければなりません。
留学生をアルバイトで雇っている場合と、卒業後に当該留学生を正社員で雇用する場合では、違うビザなのです。
例えば、ある大学や専門学校の外国人留学生をアルバイトさせているとします。留学生は学校に在学中のアルバイトは入管局の「資格外活動の許可」を得ていることが必要です
「資格外活動の許可」を得ていれば、アルバイトは週28時間以内に限り可能です。
ですが、その留学生が、3月に卒業しますが、ビザの期限は7月末までとします。
その外国人は就労ビザがまだ無いとします。とりあえず、7月末まで今まで通りアルバイトさせて良いと思っている経営者の方は多いです。
けれど、入管局から、「週28時間以内の資格外活動の許可」を得ているのは、「留学生である期間」までです。卒業した時点でアルバイトは出来ませんので、是非ご注意ください。
その留学生をそのまま継続して雇用したい場合は、3月の卒業の日にちまでに就労系のビザに変更してください。
すでに就労系のビザを持つ外国人の場合
それででは、転職の場合は、どうでしょうか?
すでに就労系ビザをもっている外国人を雇う場合、「就労ビザをもっている外国人」だから雇用しても問題ないと思っている雇用主は少なくありません。
ですが、「すでに持っているビザ」は前職の会社で働くために取ったビザです。
もし、「新しい会社が外国人にさせたい業務内容」と、「すでに持っている在留資格(ビザ)の就労可能な業務」が合わない場合は、その当該外国人は雇えないということになります。
外国人を中途採用する場合で、すでに就労ビザを持っている外国人を雇用する時は、貴社で就労資格証明書の手続きを取った方が安心です。
うっかり、範囲外の仕事をしていたということもありえます。
このように、なかなか、ややこしい「就労ビザ」です。
それでは、当社の場合は、どうなのか?
疑問・質問がございましたらお気軽にメールでお問合せください。
日本人雇用と同じ点(外国人の報酬額も日本時と同等以上)を知る
さて、上記④も忘れてはいけない重要なポイントです。
外国人も日本人と同等額以上の報酬でなければなりません。
いまだに、外国人は日本人より安い報酬で雇用できると思っている会社もありますが、それは大きな間違いです。
労働基準法、最低賃金法等は日本人と同じように適用されます。そして、労災保険の適用や社会保険の加入、税金なども、日本人と同様に外国人にも適用されます。
外国人採用の時は必ず、在留カードとパスポートを確認する
そして、上記の⑤です。外国人を採用する時は、在留資格の確認を必ずしてください。
在留資格は、日本に滞在している外国人が持つ「在留カード」で確認しましょう。
・在留カードの在留期限が切れていないか?
・就労が認められている在留資格であるか?
在留資格と在留期限を確認したうえで、雇用の可否を決めることが大切です。
在留期限が切れていたり、就労が認められる職業がマッチしていなかったりする外国人を雇うと、雇用主は「3年以下の懲役、もしくは300万円以下の罰金が科されることもあります。
あるいはその両方が科せられる場合もあります。
それから、忘れずに、パスポートの確認もしてください。
外国人に内定を出す前に専門家に相談するのが無難
さて、ここで、お勧めしたいことですが。
雇用したい外国人に内定を出す前に専門家に、相談するのが無難です。
専門家とは、「入管法や就労ビザに詳しい行政書士や弁護士」のことです。
会社と外国人が、お互いに「入社させたい」、「入社」したいと思っていても、もしビザが取れなければ当該外国人を雇用することはできません。
ですので、内定を出したい外国人が決まったら、専門家にビザが取得出来そうか相談した方が良いです。
ビザが取れない外国人に内定を出してしまい、後でトラブルになることもあります。ここも、注意が必要です。
留学生のアルバイトはオーバーワークに注意
更に、もう一つ念のため確認しておきたいことがあります。
留学生等の資格外活動許可のことです。
留学生を留学ビザから就労ビザに変更し雇用する場合ですが、その留学生はオーバーワークしていませんか?
在留カードの裏面の資格外活動許可の欄に「許可:原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く」と書かれていればアルバイトは可能です。問題は28時間を守っているかどうかです。
もしも、アルバイトし過ぎであれば、就労ビザが取得できない場合もあります。
ここも注意が必要で、予め採用予定の外国人に確認しましょう。
外国人雇用の届出義務とビザ管理をしっかり行う
そして、最後の⑥になります。
外国人雇用状況の届出は、全ての事業主の義務です。ハローワークに届出が義務づけられています。
届出を怠ると罰金が科されます。雇入れ時と離職時の届出が必要です。
届出の対象となる外国人が雇用保険の被保険者か否かによって、使用する様式、届出先ハローワーク、届出の提出期限が異なります。しっかり確認しておきましょう。
ビザの期限の管理も会社で行う
また、ビザの期限の管理を会社でしっかり行いましょう。
外国人本人任せにせず、更新手続きを計画的に行ってください。
申請書の作成や、必要な公的書類を集めることは手間がかかります。申請期間には1ヶ月前後かかります。ですので、会社側でもビザの期限を計画的に管理された方が良いです。
そして、在留カードに記載されている情報も管理してください。
会社の人事担当者が必要な実務上の情報は在留カードに記載されている情報です。
外国人社員の在留カードはコピーして管理しておかれるのが良いと思います。
企業側で外国人社員の手続きを怠ると、入局管理局からの信用が落ちてしまうかもしれません。
そうなれば、今後新しく外国人を雇用する時に、就労ビザの許可申請に対する審査がより厳しくなることも考えられます。
くれぐれもご注意ください。
外国人雇用の注意点を就労ビザの視点から解説:まとめ
さて、今回のブログでは、
外国人雇用において、就労ビザに関する知っておいて頂きたい基礎的な注意点、以下の6つについてお話しました。
①在留期限が切れていない就労可能な在留資を持っていなければ仕事はできない
②日本人雇用と違う点(外国人は仕事が可能なビザが必要)を知る
③就労系のビザはビザごとに可能な就労が異なる
④日本人雇用と同じ点(外国人の報酬額も日本時と同等以上)を知る
⑤外国人採用の時は必ず、在留カードとパスポートを確認する
⑥外国人雇用の届出義務とビザ管理をしっかりする
上記の6つは、外国人雇用が初めての場合であれば、ご存じない事項もあったのではないでしょうか?
今回は、外国人の雇用を就労ビザの視点からお話しました。「就労ビザ」と一口に言ってもその種類ごとにできる業務が違います。
「就労ビザ」を取得しても、どんな仕事でもできるわけではありません。
それに、すでに就労ビザをもっている外国人の転職でも注意が必要です。
就労ビザの注意点が、今回のブログの内容でおわかり頂けたのではないでしょうか?
外国人雇用や就労ビザは、なかなか複雑です。もし、何か疑問やご相談がございましたらどうぞお気軽にご連絡ください。
上記の内容が少しでもお役に立てれば大変嬉しいです。