外国人の就労ビザを自社申請する5つのリスク

就労ビザ

今回のブログでは、外国人の就労ビザを自社で申請する場合のリスクについてお話します。

やはり一番大きなリスクは、「不許可の可能性」が高まるということでしょう。

就労ビザは、出入国在留管理局に申請すれば、必ず取得できるというわけではありません。

「不許可」ということも、普通にあり得ます。特に慣れない方が申請すると、「不許可の可能性」は高まります。

それでは、以下、申請を自社でされる場合のリスクを見ていきます。

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就労ビザを自社申請する場合のリスクとは?

さて、就労ビザを自社で申請する場合のリスクとは、どんなことがあるのでしょうか?考えられるリスクは、以下の5つはあると思います。

就労ビザ自社申請5つのリスク:

1:不許可の可能性が高まる
2:不許可記録は入管局に残る
3:事前準備や考えなければならない事が多い
4:書類作成はややこしい、難しい、手間も時間もかかる
5:入管局での待ち時間や、場合によって追加対応もある

それでは、考えられる、この5つのリスクを順番に見ていきます。

リスク1:不許可の可能性が高まる

まず、就労ビザ自社申請リスクの第一は、不許可リスクが高まるということでしょう。

上記しましたが、就労ビザは、出入国在留管理局に申請すれば、必ず取得できるというわけではありません。

慣れない方が申請すると、不許可になることも普通にあります。

「慣れない方」とは、今まで就労系のビザを取得したことのない、外国人、会社の責任者(社長等)、人事部の方などです。

そして、気軽に申請される方は意外にも少なくありません。そのため「不許可」になってしまうのは仕方ないのですが、、、。

ところで、「就労ビザ」という一言で書いてしまっています。しかし、正確に言うと「就労ビザ」と言うビザはありません。

「就労ビザ」については、またの機会に別のブログでご説明します。

とりあえず、このブログの「就労ビザ」とは、「在留資格の「技術・人文知識・国際業務」」のことで、就労系ビザの代表格のビザです。

ちなみに、「ビザ」と「在留資格」も別物です。そのことについても、またの機会に別のブログでご説明します。

リスク2:不許可記録は入管局に残る

次に、「不許可」になってしまった場合のリスクです。その「不許可の申請書類」は入管局に残ります。

入管局に残ったその記録がのちのちまで影響するかも知れません。それでは、企業様のためにも人材の方のためにもなりません。

申請するからには、是非とも許可を取りたいものです。

リスク3:事前準備や考えなければならない事が多い

では、申請前のリスクはどうでしょうか?

申請前のリスクと言えば、就労ビザの書類作成のリスクがあります。

就労ビザ申請の書類作成や手続きを自社でするつもりの人事の方や、会社の社長は少なからずおられます。或いは、雇用予定の外国人に申請一式をさせる予定の社長も多いでしょう。

ですが、ビザの手続きや書類作成は、「ややこしい、難しい、手間も時間もかかる」ものです。

外国人を雇用する手続きは、時間がかかります。特に、初めて外国人を雇用する企業様の場合、慣れないこともあり、予想以上の時間と労力がかかります。

そして、書類作成前から考えなければならないことがあります。日本人雇用では考えない事まで考えなければなりません。

就労ビザは、その種類によってできる仕事が違います。その為、取得に関することから、入社後の働き方やキャリアアップ計画まで、日本人以上に考えなければなりません。

例えば、、、

・どんな仕事をしてもらうのか
・自社で就労可能な外国人かどうか
・種類の多い就労ビザの中からどのビザを取ればよいのか
・取得の可能性(許可の可能性)はどのくらいあるのか
・申請必要書類の他に「許可」の可能性を高めるにはどんな書類が必要なのか
・入社後の研修に「現場研修」はあるのか?
・取得予定のビザで本国の家族の呼寄せはできるのか?

など、この他にも、考えなければならないことはあります。しかし、慣れていない外国人や人事担当者には、当然の事ながら、分かりにくいことばかりです。

リスク4:書類作成はややこしい、難しい、手間も時間もかかる

ところで、入管局に提出する申請書類は、ビザの種類によっても違います。また、申請人の状況や雇用する会社によっても揃える書類は違います。

そして、補強書類や証明書類、雇用理由書で述べるポイントも違います。

それらを考え、作成しながら、同時に必要書類の収集。

これらに費やす時間と手間はかなりのものです。

その上、ビザの種類や分野によってもその作業は違ってきます。

例えば、就労ビザの代表格の「技術・人文知識・国際業務ビザ」の場合、申請書類の準備と作成期間は、通常1週間~1カ月ほどです。

ちなみに、必要書類は入国管理局のホームページに書かれています。けれど、それは申請を受け付けてもらえる必要最低限の書類でしかありません。

入管局に提出する申請書類について

それでは、入管局に提出する書類等について、もう少し詳しく以下①~④でお伝えします。

入管局のホームページには「申請に必要な提出書類」が書かれてあるが、それだけではダメなのか?

上記しましたが、入管局のホームページにあるのは、申請を受け付けてもらうための必要最低限の書類です。

「ダメ」ではありませんが、「説明不足」になる場合もあります。そんな時、入管局から追加の補足説明を求める電話がかかってきます。

入管局の疑問質問に対応しなければ「不許可」の可能性はかなり上がってしまいます。

許可の可能性が高くなる書類は?

それでは、入管局のホームページにある「申請に必要な提出書類」以外に、用意すると良い書類や書面はどんなものでしょうか?

雇用理由書

申請人を雇用することが自社にとって必要である理由を述べる書類です。入管局必要書類のHPにはない書類ですが、行政書士等の専門家に依頼した場合は作成します。

申請人の学歴、資格、経験が、申請人の担当する業務に合致している、或いは関連性を説明することを含めた雇用理由を述べる書面です。

補強書類

申請人(雇用予定の外国人)が担当する業務に、如何にふさわしいかを証明する書面や書類です。雇用理由書で説明した事を証明する資料や資格の証明書などです。

証明書類

例えば「履歴書」に事実を書いても、それが事実であることを証明しなければなりません。例えば、卒業証明書、資格の証明書などを入管局に提出することによって証明します。

また、在留資格許可の基準に達していることを証明するには、その証明書面を提出しなければなりません。

つまり、個々によって事情が違うので、その個人や会社によって揃える書類も違ってきます。「証明書類」を自分で用意して自分で立証しなければならないのです。

リスク5:入管局での待ち時間や、場合によって追加対応もある

最後に、申請書類作成後のリスクをお話します。

何とか書類を仕上げて申請しても、申請時に入管局で4~5時間待たされることはよくあることです。

この待たされる時間も「リスク」ですね。なぜなら、本来の会社での仕事ができなくなる為です。

そして、申請した後のやっかいな「リスク」は、場合によっては、追加対応をしなければならないかもしれない事です。

もう少し具体的にいうと、、、

・入管局から、必要書類に不備があった。サインが必要なところにサインがなかった等の電話がある

・提出した書類では不十分で追加書類や補足説明を、入管局から求められる

・上記のような問題に対応している間、本来の仕事ができなくなる時間が増える

特に、ビザ申請に慣れていない方がすると、事前に入管局が求めそうな補強書類や補足説明の予測がつきません。そのため、自己判断で書類を提出してしまう方が多いのです。

結局、入管局に補足説明や書類を求められても対応しきれません。その為、いきなり「不許可」になってしまうケースもあります。

就労ビザを自社申請する場合の5つのリスク:まとめ

さて、今回のブログでは、就労ビザを自社申請する場合のリスクをお話しました。

上記しましたように、「ビザの申請」は細心の注意をはらわなければなりません。また、後々のことも考えて書類を作らなければなりません。

在留資格の申請は、パターンが決まっていない大変難しい申請であることが分かって頂けたでしょうか?

就労ビザ取得は、雇用する会社の書類や、雇用する外国人の書類を揃えて入管局に提出します。

その一連の作業は、初めて外国人を雇用する企業様にとって、以下のようなリスク伴うことをお伝えしました。

1:不許可の可能性が高まる

2:不許可記録は入管局に残る

3:事前準備や考えなければならない事が多い

4:書類作成はややこしい、難しい、手間も時間もかかる

5:入管局での待ち時間や、場合によって追加対応もある

それでは、これらのリスクを回避するにはどうしたらよいのか?については、以下のブログでお話話しています。ご覧頂ければ嬉しいです。

※外国人の雇用や就労のビザについての疑問等、どうぞお気軽にご相談ください。行政書士には守秘義務がございますので安心してご連絡下さい。

このブログが読んで下さった方のお役に立てたら幸いです。